オリックスという会社

日本郵政が所有する「かんぽの宿」をオリックスに売却しようという話が進んでいるようです。


先日、鳩山総務大臣が、70箇所ある施設を一企業に格安で売却するのは問題ではないか、と指摘して、明るみになった問題ですが、考えてみると恐ろしい話です。


今日、日本郵政が鳩山総務大臣に売却の経緯について回答したそうですが、納得のいく回答は得られなかったとの事。


この売却問題ですが、考えてみると恐ろしい問題で、報道を通じて指摘されている問題だけでも、これだけあります。
矢印以下が指摘されている理由。


・売却が70施設もの「一括売却」が条件になっている。
 →販売条件を厳しくする事で、参加企業を減らすためではないか?


オリックスの宮内会長は規制改革会議の議長として郵政民営化の検討に参加し、関与しているメンバーである。
 →郵政民営化に関わって、かんぽの宿などの公的宿泊施設の売却・廃止を提言した人物が購入するのは、自分が購入するために仕組んだ策略と疑われる。


・金額は109億円と、これだけの規模の施設を買い取るには格安すぎる。
 →70カ所ある施設の建設、運営費はもっとかかっているはずであり、適正な売却価格とは思えない。


・入札に参加した他企業27社の名前が公開されていない。
 →公正を期すために入札を行うのだから、参加企業も明らかにして透明化するべきである。


・買収後に発生する施設の運営義務期間が2年しかない。
 →日本郵政オリックス側は「従業員の雇用の確保」を売買条件にしているとの事だが、本当に雇用確保するのであれば、2年では到底短すぎ、オリックスの転売目的と疑われる。


・この超不景気の時期に売却する意図が不明である。
 →企業の資金繰りが悪化している中で、売却額が高くなるとは到底考えられず、売却した所で日本郵政側が丸損するだけである。


とまぁ、此処まで考えると、
日本郵政オリックスに施設を二束三文で売り払い、オリックスもすぐに転売するとわざとらしいので、2年待ってから高値で何処かに売りつけて、濡れ手に粟のボロ儲けを企んでいる」と言わざるを得ませんな。


そう言えば、昭和63年(1988年)10月19日、オリックスが阪急ブレーブスを買収した時、2年間だけ「ブレーブス」の名前と、「西宮球場本拠地」で運営して、3年後にこの両方を取っ払って、阪急色を一掃した事がありましたな・・・。
「2年間」というキーワードが、オリックスには「待ち期間」としての基準になっているのかも。


かんぽの宿は年間40億の赤字と言われていますが、この赤字額が日本一の預金規模を誇る銀行組織を持っている会社からすれば、経営を揺るがすような大赤字、と言う状態ではないと思います。
これに匹敵するような赤字を出している「球団」というものを運営している会社は、もっと規模が小さいですから(笑)。
であれば、資産売却をわざわざ不景気の時期に慌てて行わなくても、好況になる時期を待って、企業の投資意欲が上がった段階で売却を行うのが普通じゃないんですかね?


オリックスは、この売却話は一つの企業活動だと言うかもしれませんが、とんでもない。
かんぽの宿は、元々郵政省時代から運営されていたのですから、元はと言えば国有財産です。
国民の財産を破格でかすめ取り、自分の儲けにしてやろう、と言う魂胆が見えてなりません。
これじゃぁ、国の財産を「如何にも合法的なやり方に見せかけて」泥棒しようとしているようなものじゃないですか・・・・。


まるで東欧崩壊に合わせ、旧ソ連の石油や鉱物資源などを、崩壊のどさくさに紛れて買いたたいて私物化し、暴利をむさぼったロシアの資産家のようなことを、日本でもやろうとしている人物がいるんですねぇ。


野球では、清原君に引退の場を設けるなど、感動的な場面を演出して、ファンに愛される球団として努力しているような印象付けをしている裏で、こういう事をやっている会社なんですね。
野球界に暗澹たる影響力を誇示している何処ぞやの会社より、もっと悪質かもしれません(苦笑)。


最近散々叩かれっぱなしの政府ですが、この問題に関しては、やっとまともな判断で動いている、と評価したいです。
過去にグリーンピア問題で、国の資産を二束三文で売り払ってしまった愚行を繰り返さないよう、きちんと監視して欲しいものですな。