指名打者について考える

日本のプロ野球では、現在、パ・リーグのみ採用している指名打者制度。
セ・リーグでは採用していませんが、公式サイトにその理由が書いてあります


正直、首をかしげざるを得ませんねぇ・・・。
書いてある理由について、それぞれコメントしたいと思います。
青字がセ・リーグの言う理由。


1.1世紀半になろうとする野球の伝統を、あまりにも根本的にくつがえしすぎる。
 →昔の野球は21点先取だった時代もありますし、選手交代が認められなかった時期もありますし、現在の姿に至るまで、散々ルール改正を繰り返して、現在の姿になっています。
  そう言う意味では、DH制が「あまりにも根本的にくつがえしすぎる」程の話ではないと思いますがねぇ。


2.投手に代打を出す時期と人選は野球戦術の中心であり、その面白みをなくしてしまう。
 →確かにそう言う一面は否定しません。
  が、通算敬遠(故意四球)の選手には、王さんや長島さんなど蒼々たる強打者に混じって、谷繁(7位)、中村(10位)、達川(16位)(順位はいずれも2008年終了時点)の各選手がランキングされています。
  彼らは「打者」としてより、「捕手」という守りで評価の高い選手達ですが、彼らの敬遠数が非常に多いのは何故か?
  答えは簡単、彼らが「セ・リーグに所属し、投手の前を打つ8番打者」だったからです。
  指名打者がないことで、8番打者を敬遠して、投手と勝負しよう、というしょーもない作戦が横行するほうが面白みがないですよ。


3.投手も攻撃に参加するという考え方をなくしてしまう。
 →次の回の投球を考えて、投手が意図的に三振するなんて事がよくありますが、これで「攻撃に参加している」状況とは思えません。


4.DH制のルールがややこしくファンに混乱をおこさせる。
 →「投手の代わりに野手が打席に立つ」ルールの何処がややこしいのでしょうか?


5.ベーブ・ルーススタン・ミュージアルは投手から野手にかわって成功したのだが、そのような例がなくなる。
 →現在も投手から野手に変わって成功している人は、何人もいますが・・・・。


6.仕返しの恐れがないので、投手が平気でビーンボールを投げる。
 →投手自身には無くても、相手チームの選手に対する報復は可能です。
  また、このような悪質な行為は別途ルール等で定めるべきであり、指名打者の問題とは別の話。


7.いい投手は完投するので得点力は大して上がらない。
 →明らかに打力の落ちる投手の代わりに、打力のある野手が出てくるのですから、必ずしも得点力の低下には繋がりません。


8.投手成績、打撃成績の比較が無意味になる。
 →ルールにより、犠飛が打数に換算されていた時期もありますし、それより何より球場の広さが昔より圧倒的に広くなっていたり、グランド整備技術の向上や人工芝、用具の改善など、試合環境は大きく変わっており、最早単純に記録だけで過去と現在を比較するのは不可能です。


9.バントが少なくなり野球の醍醐味がなくなる。
 →何度もバントする事自体、野球の醍醐味を象徴する行為だとは思えませんがねぇ。高校野球じゃあるまいし。


正直、投手と野手の間で分業制が進み、両方に秀でた選手というのは過去の遺物と言わざるを得ません。
逆に張本さんや門田さんなど、指名打者制度の御陰で選手寿命が延びた方もいますし、ブライアント、ウインタースなど、DH制度があったから大活躍できた助っ人選手もいます。
守備は今一つだけど、打力が魅力、と言う選手に活躍の場があっても、プロとしては決してマイナスではないと思うのですが・・・・。


あと、セ・リーグの試合を記録すると、次から次へと打順を変えながら投手交代が進んでいきますから、記録帳も書く所が無くなって、訳がわからなくなる事が何度もありました。(^_^;)
WBCなどの国際試合でもDH制が当たり前になっている現在、セ・リーグも意地派って反対してないで、指名打者制度に向けて真面目に議論していくべきだと思うんですがねぇ。