続けていく価値

吉祥寺駅の近くにある成蹊学園から、東京タワーの見える日が急増したという記事を見つけました。
見出しには「東京タワー、郊外からよく見える」とありますが、この時代に吉祥寺が「郊外」というのは、あまりにも近すぎるんじゃないでしょうかねぇ、千葉県民から見れば。(^_^;)


同校は長年富士山と東京タワーが学校から見えるか観測しているそうで、此処最近は富士山の見える日数はそれ程変わらないのに、東京タワーの見える日数が非常に増えているのだとか。
記事では都心部ヒートアイランド現象が影響しているのではないか、としていますが、本当の所はどうなんでしょうねぇ。


原因が何処にあるのかはともかく、記事では同校が関東大震災(1923年(大正12年))の直後、1926年(大正15年)から気象観測を現在に至るまで続けている、とあります。
私の学生時代、受講していた授業の講師に同校の先生が居られまして、その関係で同校へ訪問する機会があり、設置されている気象観測用の装置や、ほんの一部ですが長年の観測データを集計した資料などを見せて頂いたことがあります。


私が見た限り、装置は非常に立派なもので、数多くの機器が揃えられていただけでなく、どれも非常に綺麗で良く整備されておりまして、観測器具の管理体制がしっかり確立している事に、大変感銘を受けました。
器具を大事にしている、と言う事は、観測もしっかり行われている、と言う事に他ならないわけで、毎日決まった時刻に気温、気圧、湿度、天候などの情報がきちんと記録されて管理されており、定時観測データとして整備されていました。
80年以上長年気象観測を続けている、と言う記事は、決して大袈裟な話ではないと言えます。


私が訪れたのは地球温暖化がこれ程社会問題として叫ばれる随分前の時代ですが(^_^;)、過去数十年に同校で観測された平均気温グラフを見せて貰い、「徐々に年間気温が上がってきており、これも温暖化現象の一部ではないか、と言う気がしてならない」と先生が仰っていた事を思い出します。


観測は365日休み無く続けられ、土曜祝日は言うに及ばず、年末年始や大型連休、学校の長期休み期間中も、先生や生徒達が交代で学校に来て観測し、台風や大雪など、学校に来るのが大変な時も、何とかして観測データだけは欠けないように、皆で頑張って観測し続けていたそうです。


これ程長い事観測を続ける高い意志を持ち続ける、と言う事は、その意志が先輩から後輩にずっと引き継がれ続けている事に他なりません。
そう言う引き継ぎを最早80年以上続けている、と言うのは、物凄く価値のある事ですし、同校の貴重な財産だと思います。
こういう伝統をすっと引き継いで、もっと実りある成果につなげていく事を願わずにはいられません。