再就職はパズルじゃない

派遣切りとかで、多数の労働者が契約打ち切りで寮を追い出され、金も家も仕事もなく、ホームレス同然の状態になって苦しんでいる、という報道がなされていますが、そう言った人たちに再就職の場を与えようと、求人を出すことにした会社も少なからずあるようですが、思ったより希望者が集まっていないのだとか。


記事に出ているのはタクシー会社、介護業務、各種サービス業などが募集をかけているが、いずれも元派遣社員からの応募は非常に少ない、との内容。
あまりの応募者の少なさに、「本当に派遣切りされた人々は困っているのか?」と疑問の声も上がっているそうです。


何だか、「自分の会社に折角呼んであげようとしてるのに、その気持ちを無にする『派遣切り』された人々というのは、なんて自分勝手な奴なんだ!!」とでも言いたいんですかね、この人達は。


派遣切りで最も多いのは自動車や電子部品などの工場勤務をしていた人たちですが、そう言った人たちが経験もないまま、いきなり人を相手にするような接客の仕事につけるのか、と言ったら、はっきり言って非常に疑問です。


私の周りでも、工場勤務していた人が、人員整理で(正社員だったので解雇されずに済んで)、営業担当に回ったものの、もの作り中心の環境から、地道に得意先を回って商品を売り歩き、時には新規顧客開拓のため、飛び込み営業する、と言った今までとは全く違う環境に馴染めず、精神的にも疲れ果てて苦労している方もいます。


未経験の仕事を始めた所で、初心者に多額の給料を支払える筈もないし、働いてみて実際に戦力となりうるか、実際問題微妙な所。
人によっては、「自分が仕事に合わせて変わるべきだ!」と突き放す人もいますが、確かに仕事は甘いものじゃないし、楽なものではないですから、ある程度自分が合わせる努力は必要でしょう。
でも、そうやって強硬に上から押さえつけるようなやり方を続けていたら、精神疾患で余計苦しむ人が増えるだけじゃないですかね?


人間には、それぞれ向き不向きがあるものです。
仕事が無くなった人に対して、何でも良いから労働の機会を提供すれば、雇用問題が一気に解決するというものじゃぁないですよ。
「この業界で人が余ったから、不足しているこの業界に回せば丁度人員確保できる」なんてパズルみたいな考え方はしないで欲しいですね。
人間は数合わせのための「物」じゃないんです。


人が足りないと言われている業界であれば、その業界に世間が魅力を感じていない事に他ならないのですから、どうすれば自分たちの仕事に魅力ややりがいを持って貰えるか、皆で考えてもっとその業界の良さを啓蒙していくべきだと思うんですが・・・。
別に費用をかけなくたって、ネットで紹介する便利なやり方がある時代なんですから。