12年前の記憶

私が書かずとも、色々な方々の怒りの声が聞こえてきますが・・・。


バレンタイン監督が来期限りで退団が決定したんだとか。
これを聞いて、「選手もファンも監督に有終の美を飾って貰おうと気合いが入り、来シーズンはホームビジター問わず球場はファンが押し寄せて大盛況になり、チームも勝ち進んで優勝するだろう」と本気で思っている人は、一体何人いるんでしょうかね?


まぁ、どんなに多くても、オーナーと代行と球団社長と、3人いれば良い方でしょう(笑)。


シーズンが始まる4ヶ月以上前、まだキャンプすら始まっていない状況で、来シーズン限りで退団します、なんて事を球団が公式発表すること自体、前代未聞だし、普通に考えたって選手もファンも士気が上がるとは到底思えませんよ。


こういう話は、腹の中では思っていても、「シーズン後半、結果を見て判断する」事にしておくのが普通なんですがね。
その上で結果が出ていなければ契約更新しない大義名分が立つし、仮に結果が出たとしても、シーズン中に色々球団内部で検討して、シーズン後半まで契約満了での勇退理由を考えておく時間だって稼げるわけだし。
少なくとも、復帰してからの5年間、優勝も日本一も経験し、一応通算でも勝ち越してそれなりの成績を残しているチームを率いた監督を、わざわざ周囲が反発するのを承知で退団発表する神経が理解できません。


と、まぁ私がごちゃごちゃ言わずとも、大勢の方は同様の理由で憤っておられると思いますので、今回の騒動の当事者である、瀬戸山球団社長の過去について、触れてみたいと思います。


瀬戸山社長は、以前ダイエー本社に勤め、その実績を買われてホークスの球団代表を務めていた方です。
球団を福岡に根ざしたチームに作り上げた実績は確かに評価すべきとは思いますが、今回の話を聞いて、私自身は12年前の事を思い出さずにはいられません。


1994年、ホークスは4位ながらも久しぶりに貯金9を作ってシーズン勝ち越し、翌1995年は「優勝を狙う」として王監督を招聘し、準備万端とばかりにシーズンに臨んだものの、怪我人が続出して中盤に失速、チームは5位。


その年、肩を痛めてシーズン後半を棒に振り、翌年こそはと再起をかけていた、南海時代からの功労者である山本和範さんを、瀬戸山代表は高年俸選手のリストラとばかりに容赦なく契約更改の場で切り捨てて、自由契約にしてしまいます。
(一説には、「君なんかいてもいなくても同じだ!!」と一喝したんだとか)


私自身、南海に拾われて大活躍し、福岡出身の地元選手で、ファンからも愛されていた山本さんを、こんな形で切り捨てるとは、一体球団は何考えてるんだ、と当時は腹立たしく思ったものです。


その影響か、翌シーズン(1996年)は、ホークスは最下位独走、御存知の方も多いと思いますし、あまり思い出したくありませんが、色々な事件が起きてしまった一年でした。
ファンもその怒りは瀬戸山代表にも向けられ、シーズン終盤の試合後に、ファンから山本さんを切り捨てた張本人として「瀬戸山辞めろコール」が行われた事もあります。


その後瀬戸山氏は、脱税事件や、後に力を付けてきたセクハラ独裁者が球団を牛耳るようになってからは、立場も弱くなり、ホークスを去りましたが、手腕を買われて2004年にロッテ球団の代表に就任しましたが、上述の「前歴」があるので、また人事で揉めてファンの反感を買わなければいいけど、と思ってましたが、干支が一回りして同じような事を繰り返してしまうとはねぇ・・・・。


確かに、ロッテ球団に来てから、地道に営業して切符を売り歩いたり、千葉マリンの運営権を球団主体にして貰うなど、集客に努力して、固定層のファンを獲得した実績は評価すべきだと思うんですが、こういう一件で、こういう前向きの評価が吹っ飛んじゃいましたよ。


歴史は繰り返すんですかね。
経営者という立場なら、このタイミングで発表したらファンはどう思うか判らない程、頭が悪いとは思えないんですが。
だからこそ余計に、球団の真意を測りかねます。


バレンタイン監督の年俸が球団経営の足かせになっていると言う報道がなされてますが、だったら尚更本人へ球団の経営事情を正直に説明して、理解を得て契約内容を見直して貰うか、駄目なら今季限り、と言う話を「水面下で」付けておくべきなんじゃないの?
この時期に監督と再来年の話をするんだったら、このレベルで収めておくべきだと思うんですがねぇ。