年月と共に退化?(その2)

昨日に引き続き、ファンクラブの話を続けたいと思います。


昔はパ・リーグ各球団には「相互乗り入れ」という制度があって、試合のあるビジターチームのファンクラブに入っていれば、試合当日、ビジター球団のファンクラブ会員証を見せると、本拠地チームと同等の入場券割引が受けられたのですが、2005年当たりからそう言う制度が崩壊し始め、本拠地チームのファンクラブ会員じゃないと、割引などの恩恵を受けられない状態になってしまいました。
相互乗り入れ制度は、オリックス日本ハム、そしてホークスは全廃されています。
(ただ、ホークスの場合は来る観客が多すぎて当日前完売が多く、当日限定のビジター割引が出来ない事情もあるんですが)


これは、2004年に勃発した球界再編問題で、ファン離れを危惧した各球団であるはずなのに、以前よりもサービスが後退している事に他ならないわけで、どうしてこういう問題があることを、世間は意識しないんでしょう。
マスコミなんか全然この話題に触れてませんからね・・・・。


現状、会費を割引に回すより、ピンバッチとか選手カードとか、ファンクラブ限定のコレクターアイテムを増やす、と言う事に、各球団は力を入れているようです。
ピンバッジ貰うのを楽しみにしている会員は何処のファンにも多いようで、帽子やらユニホームやらにたくさん付けている人、多いですからね。
そうやって会員数や球場に来る回数を稼ぎ、入場割引を削る事で、会費の収入と入場料収入を伸ばそうとしている意図が透けて見えるような気がして、正直良い思いはしません。


最近になって会員情報管理の電子化が進み、切符販売時、各種手続き、売店での購入時も、会員証カードの読み込みがセットになっています。
これってファンへのサービスと言うよりも、誰がいつ観戦に来て、会員の年齢層、性別の割合がどのくらいか分類し、その分類層の中で、どの席を購入して、どういう品物、飲食品を購入し、ピンバッジをどれだけ貰ったか、という顧客データベースを作り、どういう条件だと観客がいっぱい来るのか統計を取るため、と言う方向にファンクラブの運営形態が変化しているのではないか、と感じています。


球団はファンクラブ会員に対し、会員特典というメリットを与える代わりに、顧客DBとして登録し、統計サンプルとして使わせて頂きますよ、という目論見があって、それが会員達の多くには、目の前にある特典のメリットでかき消され、球団に個人情報が管理されている、と言う所まで気持ちが向かないのが現状なんだと思います。


とにかく見に行くのが好きで、何か貰うよりも何度でも球場に足を運びたい、と言うファンには入場料値上げになりますが、球団にとって重視するような相手ではないのかもしれません。
上述のような統計分析の結果、何十試合も行くようなファンは少数派だと見なされているんでしょう。


そして、上にも書きましたが、この不景気だとか言っている中で、デフレ時代もあったのに、一律球場の入場料だけは、何処のチームも上がり続けているんですよね・・・・。
球場内で買う飲食料代も、かなり前から、まるで冷戦時代に旧東側諸国で、旧西側諸国製の品物を買うような物価のままだし。
これまた、時代の流れに逆行するような金額設定ですよねぇ・・・・。


それでも各球団は、巨人や阪神は別にして、皆赤字もしくは薄利だというんだから、驚きです。
一体何処に金が飛んで行ってるんでしょう?


真っ先に思いつくのは選手の年俸ですが、これを削ったら削ったで、選手の質が下がっていく可能性も考えなければなりません。
正直、球団も正確な収入と支出の額と内訳を正直に開示し、収支のバランスの何処が悪いのか、もっとファンに訴えていっても良いと思うんですが・・・。
場合によっては、選手が貰いすぎ、と言う事もあるでしょうし、無駄な出費とかが浮き出てくるかもしれません。
球団も収支を公開する事で、変な出費は出来なくなるわけだし、経営が厳しければ如何に球団を立て直すべきか、世の中に問うてみる、と言うやり方も有りなんじゃないでしょうかね?
選手だって自分自身が貰っている年俸が何処から出ているのか、判らせる事も必要だと思いますし。


野球はファンのためのもの、と言うなら、ファン全体の問題として共有し、ファンに対応策を考えさせるやり方も一案じゃないでしょうか?
但し、こういう場合に限って、「声のでかい奴が勝つ」事が往々にしてあったり、無理矢理多数決で強引に進めようとする輩が出てきたりするので、ファンだけに考えさせるやり方、と言うのは諸刃の剣でもあり、難しい所ですが。