道路特定財源の話

最近ネタ切れ気味の中(^_^;;)、ハートどろぼうさんから、非常に意義あるご意見を頂いたので、折角ですから道路特定財源、と言うかガソリン等の燃料にかけられている税金の使い道に関し、私自身思う所を述べてみたいと思います。


とは言っても、私自身そんなに高度な話が出来る訳でもありませんので(^_^;)、近所のオッサンが思いつくままに言っている、と気楽にお読みいただければ、と思います。


ガソリン等の自動車用燃料にかかっている間接税、これがかなりの税額になっていて、その税金は道路整備に向けられた特定財源になっている、と言うのは、最早多くの方が御存知の話になっていると思います。


因みにこの税額は、
 ガソリン税(1リットル):本税28.7円+暫定税率25.1円=53.8円
 軽油引取税(1リットル):本税15.0円+暫定税率17.1円=32.1円
となってまして、これ以外にもそれぞれの燃料卸値+サービスステーションの経費が加算されている訳です。
更にこの合計額に消費税が5%加算されて、実際の販売価格になっている訳で、燃料の税金にも消費税が加算されているという、税金の二重取りというとんでもない現状もあったりするのであります。
要はこの税金(消費税除く)が、所謂「道路特定財源」というわけですな。


この財源の使い道に関して、「道路を造るより、一般財源に回すべきだ」とか、「一般財源化するんだったら、その分を減税するべきだ」、とか意見がありますが、少なくとも、「道路を造る金が減る」と言う事になります。


その場合、結局どうなるか、と言いますと、
  ・道路建設工事が減る。
  ・道路建設費を一般財源から回す。
のどちらかになる訳です。


道路が何処まで必要か、と言う議論になると、「ムダに作っても意味はない」とか、「不便な所や、慢性的渋滞に悩まされている地域にはもっと必要だ」とか、「造っても当然維持費がかかるから必要だ」とか、色々な議論があるでしょう。
この辺は地域事情や地域環境などの問題が絡みますし、一概に言える話でもないので、行政側が適切な裁量を行って、優先順位を決めて欲しい、と言う所までにしたいと思います。


むしろ問題は、こっちの方だと思います。
道路特定財源(少なくとも暫定税率)を撤廃したらどうなるか・・・・。
これは「国民全体にとっては増税になる」のです。
減った分は、「金が空から降ってくる」訳では当然ありませんので、何処ぞやから必要な金を持ってこないとならなくなります。
官僚や公務員の無駄遣いを抑えた所で(これはこれで必要ですが)、革命的に国家の財政事情が好転するような状況ではないですし、ただでさえ、税収だけで国家の支出を賄える状態ではなく、国債の発行などでその場をしのいでいる訳ですから、この分の減収を埋めるには、増税赤字国債の発行、と言う話になり、結局間接的に国民が何らかの形で追加負担しなければならなくなります。


要するに、歩行者や電車利用者など、車を利用しない人に対しては増税となり、車を使う人には利用距離や使ったガソリン分に応じて減税となります。
普通の人は、週末に買物に使うとか、家族の送り迎え、通勤程度であれば、暫定税率分の減税があった所で、ガソリン代は大した節約にはなりません。
良くても1ヶ月で2〜3,000円かそこらでしょう。


むしろ、「ガソリンを大量に使う」という人にのみ減税となるわけで、恩恵を受けるのは、毎朝高燃費の高級車や、重量級のRV車で通勤したり、ドライブを趣味にしているような人になる訳です。


結局、ガソリンを大量に消費する人が大幅に減税を受けて、普通のドライバーはそこそこ、自動車を運転できない老人などの交通弱者が、実質増税される、という事になってしまいます。


ただでさえ、省エネで限りある化石燃料を節約しよう、という動きの中で、それに反する行動を取る人が得をして、交通弱者が損をする、ってのはおかしい話じゃないですかね?


と、此処まで書いて、ようやく本題(笑)。
ハートどろぼうさんの仰る道路特定財源の使い道に関して、私自身この「交通政策財源」として、交通機関を形成するすべての要素に対して、予算配分を検討するべきだ、と言うご意見には概ね賛成です。


自動車は確かに便利な乗り物です。
大荷物を運んだり、行きたい所へ自分の都合で行けるし、座りっぱなしで快適に移動できるし・・・。


ただ、その反面、鉄道やバスなど、公共交通機関を自ら否定して移動している訳ですから、車を運転できない子供や老人達などの移動手段を、言い方は乱暴ですが「奪っている」と言う事になります。
それから、運転できる人でも、公共交通機関を使えない以上、酒飲みには行けない訳ですからね(笑)。


そう言う交通弱者を救済する意味でも、ハートどろぼうさんの仰るように、道路特定財源を公共交通機関のサービス維持に充てる、という考え方も必要だと考えています。
そもそも、公共交通機関が衰退しているのは、これら機関を当てにしないで車社会を作り上げた、地方のドライバーの責任だ、と言う見方だって出来てしまうのですから。
勿論私自身、地方、とりわけ過疎と呼ばれる地域の生活事情はよく知ってますので、そう言う車社会を形成してしまった人達を非難すると言うより、車社会の形成、と言う過程の中で取り残された、車を使えない交通弱者に対する配慮をしてあげて欲しい、と言う考えによるもの、とご理解いただければと思います。
現役ドライバーの方々だって、最初は子供だったんだし、いずれ老人になる訳ですからね。


道路に限らず、交通手段というものは、我が国(ひいては世界の)物流体系や人員輸送体系という、国民の生活や経済に密着した重要なインフラの一つである訳ですから、省庁や政党や圧力団体など、ステークホルダーの利害、という安っぽい政争の具にするのではなく、国民の利益に繋がるためにはどのようなあり方が望ましいか、という観点から議論を進めて貰いたいものだ、と真に思います。


それにしても、長文になってしまいましたな・・・・。(^_^;;)