高度技術を駆使した「玩具」

先日書いた話ですが、やはりと言うべきか、あちこちで問題になっているみたいですな。
早速調子に乗って悪用する連中まで出ているそうで。


ストリートビューの画像は、公道で撮影し、そこを通った人から普通に目に出来る情報なんだから、公開されても全く問題ない」なんてGoogleや、公開を支持する人もいるみたいですが、そう言う人たちは一体何考えてるんでしょうねぇ・・・・。


誰も「公道という一般人が普通に通って良い場所で、撮影行為そのものを絶対にやっちゃいけない」なんてことを言っている人はいないんですけど。
その辺で写真なりビデオを撮って、周囲の風景が写ってしまうこと自体を否定されているとでも思いこんでいるのか、見当違いも甚だしい。


問題なのは、


・個人のプライバシーに関わる情報が簡単に閲覧できる画像を撮影している
・撮影は当事者の許可なく勝手に行っている
・撮影した画像を不特定多数の人間が容易に参照できる状態で、勝手に全世界中に公開している


と言う問題が、3点セットで揃っていることなんですがね。


確かに、公道沿いにある住宅の居住者や所有者、通行人、車の所有者一人一人から、撮影の許可を求めることは、まず間違いなく不可能です。
だから「皆から許可を得ることは不可能なので、勝手に撮影して、公開して良い」ってことになる、って本気で思っているなら、自分勝手以外の何ものでもないですよ。


そもそも、公道に面した場所じゃないと、法律上家を建てられないじゃないか。
公道に面しているんだから写して良いだと?
家を写されたくないなら、ホームレスになれとでも言いたいのか?


自宅の表札や、ベランダに干してある洗濯物とか、駐車場に止めてある車のナンバーとかを、世界中に公開するため、見える場所に置いておく、なんて前提で考えている奴が一体何処にいる?
外から見える場所に置いておかないと、郵便物が届かないとか、洗濯物が乾かないとか、車を車庫から出せないとか、「生活上不都合が出てしまう」から置いてあるだけのことでしょ?
公の場にあれば、個人の私生活に直結するような情報であっても全世界に公開して良い、と考えること自体、どうかしてますよ。


画像の解像度だって結構高いです。
17インチ以上の大きいディスプレイ持っている人なら、全画面表示してなおかつ拡大表示すると、随分細かい所まで写っているのが判ります。
これだけのレベルなら、悪用しようと思えばし放題、現地に行かなくても、泥棒が誰の家に狙いを付けるか、事前下見やシミュレーションにだって使えてしまうかもしれない。


Googleはプライバシーの問題で削除依頼があれば受け付けることにしているそうですが、これじゃぁ削除すべきかの判断を受け手に丸投げしてるだけで、一種の責任放棄ですよ。
しかも既に公開されている情報なんだから、削除依頼したとしても、削除前に画像が悪意ある人物にコピーされ、ネット上でばらまかれてしまったら、最早消す方法なんかないし、取り返しが付かないでしょ?
第一削除するのは依頼者じゃなくてGoogleなんだから、依頼通りに消えてくれる保証なんて何処にもないし。
公開されたことにより、その人が何らかの事件に遭ってしまったら、責任取ってくれるのかね?


Webを見てなくて、その画像が公開されていることを知らなかったり、端末がなくて見る術がない人にとっては、問題があるかないかを判断することすら不可能だ、と言うこと自体、考えなくたって公開前から簡単にわかる話じゃないのかね?
そう言った人たちは確実にいるし、作る側だってそう言う人の存在は容易に推測できる話じゃないか・・・。
こういった人たちへの配慮なんてする気は全くない、と思っているとしか判断できませんな、残念ながら。


地図レベルなら、それがないと、目的の場所に行くにはどういう道順で行けばいいか判らない訳だから、ある程度公の情報として公開すること自体はやむを得ないでしょう。
それ以上の情報、少なくとも人の家の軒先とか、通りすがりの人や、車のナンバーとか、充分個人情報が確認できるようなものまで、勝手に公開するのは、やっぱり行き過ぎですよ。


おそらく、かなりの人員と技術力を駆使して設計開発したのでしょう。
その努力は否定しません。
だけど、折角のハイテクも、作ったもので得られる利益より、弊害の方が大きければ、その価値は激減ですよ。
所謂「ハイテクおもちゃ」にしかなりません。