田舎暮らし

TVを見ていたら、定年後田舎で生活したい、という人が多いようで、実際に地方へ移住する人も増えているらしい。


が、はっきり言ってこういう人たちって、地方で生活したことが無いから、田舎に住めば都会の喧騒を離れて悠々自適の生活が送れる、という幻想にとらわれてるんじゃないか、と思います。


学生時代、全国各地を回ろうとあちこち旅していたのですが、回り始めた最初のころは都市部では珍しくなかったこと、例えば駅前には商店街があって夜でもにぎわっている、なんて光景は、ある地方の駅に行った時、夜6時過ぎなのに通りは真っ暗、店は全部閉まっている、というのを見た時、地方に都市部の常識なんて通用しない、何て自分は世間知らずだったのか、とカルチャーショックを受けたことがあります。


その後仕事の都合で仙台に住み、仕事で東北各地を回り、「1日数本しか列車が来ない」とか、「そもそも最寄り駅なんてものは無い」所にも行ったことがありますが、そういう所で就職口を捜すのは並大抵なことではありません。何しろ産業が無いのだから、雇用口も当然非常に少ない。
地方の若者が首都圏、京阪神地区などの都市部に出て仕事についている現状は誰しもご存知と思いますが、「地方で生活する」実態はものすごく厳しいです。
事実、仙台でも「地元で就職したい」という高校生、大学生が多いのですが、不景気のあおりもあって、なかなかそういう就職口が見つからず、苦労している現実を目の当たりにしてきました。


東北最大都市の仙台ですらこれですから、ましてや「田舎」と言うところでは、収入を得るための苦労は推して知るべしでしょう。
首都圏地区なら、何しろ日本の人口の約4分の1が集まってますから、年齢条件問わず、再就職の当てはそれなりにありますが、地方は若い人が就職難に陥ってる現状からすれば、熟年世代が職を得るなんてのは至難の業であるのは想像に難くないです。


地方のよさ、それは自然環境のよさ、ということなのだと思いますが、それによって失う利便性や収入確保の厳しさにどれだけ覚悟があるのか、「田舎に住みたい」と考えている人こそ、もう1度考え直してもらいたいものです。